221bb9e2.jpg金「鎚」で打ち「起」こしながら器を作り上げていく鎚起銅器。鎚起銅器の製作には様々な道具を使用し、金鎚は約200種類、烏口は約300種類あります。200年前の創業当時からの道具も存在し、道具は玉川堂の歴史でもあり、財産でもあります。烏口は器の形状に合わせて変えていき、湯沸を製作するためには約20〜30の烏口を必要とします。銅を叩いて伸ばすのではなく、叩きながら縮めていきます。縮めるも丸めるも職人の勘一つ。湯沸の寸法はすべて職人の頭の中にあるのです。銅は一度叩くと硬くなるので、火の中に入れ柔らかくします。この作業を焼き鈍しといい、形状完成まで約20回焼き鈍しを行います。そして、仕上げの着色は玉川堂が開発した現代無二の色彩です。銅の表面に錫を焼き付け、硫化カリウム等の天然の液に漬け込むと銅に多彩な色が付きます。最後にイボタ蝋(ろう)という純粋な蝋を塗り艶出しされて、職人の幾つもの技が織り込まれた湯沸が完成します。

玉川堂のぐいのみは職人が叩いた数だけ唯一無二の姿があります。倒しても倒しても起きる屈強さがあります。私の逸品に加わりました。