卒塔婆は古代インドで塔を意味する「ストゥーパ」という言葉を漢字に写したもので、略して塔婆と言っています。真言密教ではそれを立体的な「五輪の塔」で表現しますが、鎌倉時代になると「板碑塔婆」が、室町時代の終わりごろになると「木の柱のような塔婆」が、そして江戸時代になると、今日私たちが建立している木製の板の「塔婆」が一般的になっていきました。 もともとは五輪の塔でしたので、その形も、上から「宝珠形」「半月」「三角」「円形」「方形」とされ、そこに「キャ」「カ」「ラ」「バ」「ア」と梵字が記されています。この形と文字はこの世界を構成する「空」「風」「火」「水」「地」の五つの要素(五大または五輪という)を表し、それはそのまま、ご本尊・大日如来さまを象徴しています。
塔婆の表には、この梵字と、その下に、年回忌の十三仏の種字と戒名を書きます。これは、大日如来の大いなるいのちの世界で、故人が母親のふところに安らぐように、年回忌の本尊に見守られていることを意味しています。
塔婆の裏には、大日如来の種字である「バン字」、その下に苦厄災難を除く「破地獄の真言」、そして大日如来を意味する「南無遍照金剛」と「年月日」、「施主名」を書きます。
塔婆を建てる意味は亡き人を思う心情に合わせて自分の信仰心を深めていくことです。私たちも精霊もともにご本尊さまの大いなる恵みの中に生かされていることを願い、施主から精霊への心からの便りとなるものです。塔婆を一つ建てることは仏像を一体つくるのと同じくらいの功徳があるといわれています。
それゆえ、塔婆がある宗派の場合(浄土真宗以外の仏教)で塔婆を頂いた場合はご先祖を敬い塔婆を通して供養する気持ちを表すこととなります。
よくあるように塔婆が重ねて墓石に挟んであるように何が書いてあるのか判らないようなおき方や塔婆立てに重ねて2枚。3枚おくのは墓がくっついて建てられているのと同じと言っても過言ではありません。
ですから塔婆立ては出来るだけ墓地の中心に見やすく置いて余裕があれば必要な塔婆枚数に合わせて2枚、3枚並列に置けるようにおきたいものです。
墓を立派にして塔婆を粗末にするのは本末転倒となるので注意が必要です。
逆に墓が低く造られ塔婆立てが石でしっかり造ってあるのは逆に理想的でしょう。
塔婆は五輪塔の代わりになるので五輪塔が建てれる余裕がなければ塔婆建てには神経を使いしっかり造ることをお薦めします。
塔婆こそ墓の生命であり、仏であり、墓の主賓なのです。お墓に塔婆は必需品であって、塔婆立てを必ずつけておいてください。板塔婆は、先祖供養や施餓鬼のために、必ずお寺のご住職に書いていただきましょう。板の上方に五輪の刻みが入っていますが、それこそが五輪塔なのです。
くどいようですが繰り返します。
墓石の後ろに五本の卒塔婆を立てると、五本の五輪塔を建てたのに等しく、それがなによりの功徳になります。墓ができたときも、法事のときも、皆さんで多くの塔婆を建ててください。板塔婆の立っていない墓地は、祭祀事のかなえられていないといえます。
塔婆は、位牌墓や供養墓の後ろに立てます。また、仏石の前に水塔婆を差し込む場合もあります。よく肝心要の塔婆が無惨に倒れている墓を見かけますが、けっして粗末になさらないように、墓地には、石でもステンレスでもいいですから、塔婆立てを必ずつけておいてください。寺墓地には必ずついていますが、霊園ではほとんどがついていないようです。いくら立派な墓を建てても、「○○家之墓」という表札を拝むわけではないのですから、五輪塔や塔婆の立っていない墓は、無意味です。
また塔婆は、一年を経過すれば焼却処分にしてください。火となり煙となり、魂は天空へ昇って行きます。塔婆を是非見直してください。