たまたま昼下がりに鮨屋で新聞をひろげると
以前ワイン閣下の挿画本のくだりでご紹介した金子氏が掲載されていた。


東京・銀座の並木通り。高級ブランド店が軒を連ねる一角のレストランで、一、二カ月に一度、ワイン会「サロン・ド・ヴァン」が開かれる。「ヴァン」とはフランス語でワインのこと。同会を主宰する金子三郎さんが選んだワインを味わいながら、好きなワインについて自由に語り合う「大人の隠れ家」(金子さん)だ。

 金子さんは六年前まで三菱電機に勤めるサラリーマンだった。会社を退職し、フランスのボルドーに留学したほどのワイン好き。

 ワインとの出会いは、四十年ほど前に飲んだボルドーワイン。「異国のワインに今までにない色と香り、味そして文化を感じ、ワインにひかれた」。営業で忙しい毎日の中、プライベートではワインを探し求めた。

 関西地方に勤務していた時、給料が出ると京都のワイン専門店に出かけ、ワインを飲み比べた。東京でオークションがあると聞けば、休みを取り駆けつけた。妻からは「ワイン代で家が一軒建った」と冷やかされる。

 五十歳を過ぎたころから、違った生き方ができないかと考え始めた。父親が六十二歳で亡くなったことも影響していた。「残された時間は意外と少ないのではないか、ならば自分のために生きてみたい」。長年親しんだワインの集大成としてフランスへの留学を決心した。

 不安がないわけではなかった。留学費用やその後の生活資金はどうするのか。手持ちの資金を計算すると七十五歳までで尽きてしまうことが分かった。妻は「なんとかなるんじゃない」と励ましてくれた。二〇〇二年、五十七歳で会社を早期退職。一年後、難関といわれるボルドー第二大学醸造学部に留学した。

 大学ではワインの知識だけでなく、ワイン文化全般について学んだ。講義の内容は難しく、予習・復習の毎日。それでも「留学はワインを楽しむため」と休日はフランス各地のブドウ畑を訪ねたりした。

 二年間の留学を終え帰国。そんな時、銀座でレストランを経営している友人から「留学経験を生かして何かやってみない」と提案を受けた。友人たちに声をかけ、〇五年二月、ワイン会を始めた。

 毎回二十五人前後が参加し、友人が知り合いを誘い、新しい参加者も増えつつある。「ワインを通じてすてきな人と出会い、喜んでもらえるのがうれしい」

 金子さんの夢は、会の仲間とフランスでボルドーやブルゴーニュのブドウ畑を眺めながらワイン会を開くこと。「夢は逃げない。夢を抱き続けていれば必ず実現する」と年を重ねても夢見ることの大切さを語る。新聞紙面より

嬉しさのあまり連絡をとると
中日新聞にも掲載されていたとは知らなかった様子であった。
ワイン会を秋田の老舗料亭で開催地元秋田をはじめ酒田、仙台からもワイン愛好家にお集まりいただき賑やかで楽しい会を催してなお活動の場所を広げている様子。
広大な庭園を眺めながら由緒ある古民家で産地特産の松茸づくしをはじめ山の幸、海の幸をふんだんに味わったそうで話だけでもおいしい幸とワインの匂いが漂う。<シャトー・ディケム2003年>を庭園で味わったとのこと。

12月の会にはルシェンヌ・ボワイエのパリ・オランピア劇場での最終公演やコラ・ヴォケールの20年間に亘る伴奏をつとめた有名なピアニストをパリから招き開催予定。
ワイン会「サロン・ド・ヴァン」

夢を抱く金子氏に乾杯。