義父義母ヒッチコック氏とステラ女史を連れ立って穂高へ。恒例の旅行だ。義母の新車ティグアンを運転して山道の走行はなかなか楽しいものだ。四駆での悪路走行は素晴らしい。

高山では骨董の名店・天祥堂さんでヒッチコック氏が往年の物欲を発揮して大正ロマンのアイスクリーム鉢を購入。空鉤にも興味を持って以前は西洋骨董に重きを置いたコレクションも完全に和にそれも民芸にシフトしているようだ。天祥堂さんには以前は人間国宝の浜田氏も数多く通われ御代を自分の器で賄ったという。
お店も其のほうが儲かると踏んだわけだ。浜田氏は常々
「自分の器が骨董にかなうわけがない。骨董が良いと思った瞬間に自分の負けを認めている。」と語ったとのこと。
義父に連れ歩かされてもそれはそれでいい勉強ができる。

最近のお気に入り穂高山のホテルで宿泊。マネージャー氏にフレンチディナーでシャンパンボトルの差し入れがされちょっと飲みすぎてしまった。
お風呂では81歳の元気な老翁に出会った。
「さっき混浴に行ったら外国人に出会ったよ。」
「へえーそれでどうされたんですか」
「英語で喋っても全くかえってこない。日本人だったよ。」
「次に金髪の女性が入ってきたからまた英語で喋ったよ」
「やはり混浴ですね。そしたらどうでした?」
「いやー日本の茶髪の男だったよ。」
「次に外国人力士が入ってきたから先場所のことを訊いたよ」
「たしかに九州場所終わったところですね」
「いやあただの大きな男だった。」
永遠に老翁の話を聞き入って完全にのぼせてしまった。
「本当にお元気ですね。81歳に思えないユーモアです。」
「いやあ。もう・・・・
  今はただ 小便をする ばかりなり って か」
と老翁がにこやかに立ち上がる。旅行とひと時の会話。旅情に触れる瞬間だ。

穂高・飛騨路はすっかり雪化粧。冬の到来は間近だ。