
不完全であって完全でありDIYのようで完成された美を見出す不思議さ。
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そこには手作り感がありまた一つと同じものがないようなオンリーワンがある。フレンチシックであり昭和の頃の洋家具でもあり
ミリタリー家具のようでもありミッションスタイルでもある。
しかしどれでもいい当てはまらないのがトラックファニチャー。
トラック流なのである。不完全の中に美を見出すところはまさに現代版侘びさびジャパニーズ家具といえるだろう。
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混沌とした物欲社会が破綻した乱世だからこそこのようなスタイルが流行するのもわかる気もする。なんとなく陽だまりの窓辺にトラックファニチャー。いいんですよね。
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1997年、黄瀬徳彦さんと唐津裕美さんの2人が、家と仕事場と家具店とを兼ねた「TRUCK FURNITURE」を、大阪・玉造にオープン。
黄瀬徳彦さん:1968年大阪生まれ。
高校卒業後、長野の職業訓練校で家具制作を学び、大阪の椅子工場に3年半勤務して独立。
作業場として借りていたのは、畑のど真ん中にポツンと建った、20坪ほどのプレハブ。1人でコツコツ家具を作って家具店へと持ち込むうち、大手の家具店とも取引ができ、ぼちぼち仕事が軌道に。そんなとき、黄瀬さんはなにかの雑誌で、いっぷう変わった雑貨店の記事を見つける。店の名前は「モチーフ」、場所は大阪市の上新庄。自作の雑貨や陶芸を若手の作家たちが持ち寄って販売する、期間限定のショップだった。もちろん黄瀬さんも自作のスツールなどを、さっそくそこに持ち込んだ。
唐津裕美さん:1967年大阪生まれ。
テキスタイルを学んでいた大阪芸術大学を卒業後、大阪は本町の繊維メーカーに就職。テキスタイル・デザインの仕事に就いていたが、もともと好きだった絵を描いて暮らそうと独立。関西の情報誌『Lマガジン』でデビューし、イラストレーターとして活動。両名ともに同じ雑貨店に出品していたことから、徐々に意気投合。1997年、大阪に家具店「TRUCK FURNITURE」をオープンし、のちに結婚。
家具カタログ「TRUCK WORKS」が5万部のロングセラーとなるなど、全国的な人気を得る。