歴史は18世紀にまで遡るハインリッヒ・モーザー(1805〜1874年)が、初めて国際的な舞台を活躍の場として設立した会社が、サンクトペテルブルグの貿易会社H. Moser & Coである。この名前から、ラテン語とキリル文字の社名ロゴを作り、その後メダイヨンのマークとして使われた。
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ロシアでのビジネスは、10月革命のあおりで1917年に断念。1920年前後には、モーザーの時計会社が残した作業場から、モスクワに国立「中央時計修理工場」が造られ、ロシアに独自の時計生産設備が完成。モーザーの時計は、その後も長い間、最高品質の時計の代名詞である。しかし1923年ハインリッヒ・モーザーの一人息子が亡くなると、モーザーの名前も絶えていつしか華やかなロシア貴族に親しまれた表舞台からひっそりと消えていった。
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さてそんな創業者であるH.モーザーと切っても切れない関係のある時計会社がある。スイス北東部シャフハウゼンにある有名なIWCだ。実はブランド名にあるヨハン・ハインリッヒ・モーザーの祖父は、1730年にシャフハウゼンに生まれた時計職人。父も時計職人で、ハインリッヒ自身も父のもとで時計製作を学び、時計メーカーとしてロシア貴族界を中心に大成功を収めその後シャフハウゼンの鉄道事業やライン川のダム建設と電力事業に乗り出して産業を活性化させるなど大活躍した。
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IWCの創業に際して、土地の提供や電力供給でバックアップしたのも何を隠そう彼自身である。いまもIWCの会社には彼の銅像が会社を護るかのように立っている。
幻の時計職人、現代のミニツリピーターなどの多くの複雑機構を彼はこの時代に完成させている。名古屋のトリムでこの時計を拝見させて頂いた。懐中時計のクロノグラフであり1910年ごろのものだ。極めて完成度の高いデザイン。
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1960年代のロシア軍の高官がこぞってオリジナルのこの時計を贈答され喜んだのも無理はない。現在新たに復興を果たしたこの会社であるがやはりオリジナルのその重みには適わない。今後さらに文化的価値も含めて評価が高まる幻時計の一になることだろう。