名古屋池下の交差点を高見の方角へ左折する。居酒屋やら洋食屋、レンタルビデオなど騒々しい通りを抜けてしばらくいくと以前から気になっていた店が左側に見えてくる。それがなぜに気になっていたのか言葉にはしにくい。ガラス張りの雰囲気なのか間口の狭さのわりに存在感があるのかその英文字の看板のためか。然しながらその場所は丁度私の車のスピードものっており止まって確認するには狭い道路だった。ゆえにいつも通りすぎながらアフラックに「此処気になるんだよね」と声をかけるだけにとどまっていた。
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あるとき、私はその日何もすることがなく身をもてあましていた。アフラックと供だって行動することを週末とするだけに急に一人となるとゴルフなどが予定に入ってなければ退屈このうえない。当ても無く名古屋方面に車を走らせた。その場所の近くに通るまではまたそのことを忘れていた。そのこととは、「気になる店」がそこにあることである。その場所を通り過ぎて何処かで昼食をとった。不思議であるが何処で昼食をとったかは思い出せない。改めて何気なくそこをいつもの順路で通りかかると「あっ・・」と思わず声を出した。思い出したのである。急ブレーキをかけて路肩へ車を寄せた。寄せすぎて私は車からかなり窮屈な思いをしてドアからすりぬけた。
にやにやしながらそのお店の前に立ったのである。
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全面ガラス張りで分厚いガラスだ。扉には「Kinderbook cafe」と書いてある。扉をよいしょっと引いて入ると、モダンな縦狭めがねを掛けた紳士が「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。レジカウンターの前に恐縮ながら陣取るとえらくおおきな分厚いプリントが渡された。程なく読み進めるとそれが「メニュー」だと知れた。
丁度いい頃あいに「失礼します。説明させていただきますと・・・」眼がねかの奥から素敵な眼を揺らしながら紳士がしゃべる。「ねえマスター」という言葉がこれほど似会う人はいるまい。よくみれば蝶ネクタイも似合っている。メニューの解説も気もそぞろにほとんど私はマスターの人間観察をしてにやにやしていた。この人間に出会えてすでに「嬉しい」感触がわきおこったのを感じているのだ。思わず笑いが起こるとはこのことでマスターの身のこなしや一挙手一投足が五感に響くのである。
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手堅くマスターの薦めるままに「ダージリンティー」を頼んだ。帰り際のレジの前にて「いやー本当に思ったとおりの素敵なお店で嬉しかったです。今度、妻と一緒にきますね。」珍しく私は名刺まで取り出して渡した。その名前をみてはマスターが「ソイ先生ですかーなるほどソイさんですかーいい名前ですね」社交辞令には思えない屈託の無い言い方であった。この日がマスターとの最初の出会いであるのだが、すでに以前から周知の間柄である気がしたのも確かなことであった。
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あるとき、私はその日何もすることがなく身をもてあましていた。アフラックと供だって行動することを週末とするだけに急に一人となるとゴルフなどが予定に入ってなければ退屈このうえない。当ても無く名古屋方面に車を走らせた。その場所の近くに通るまではまたそのことを忘れていた。そのこととは、「気になる店」がそこにあることである。その場所を通り過ぎて何処かで昼食をとった。不思議であるが何処で昼食をとったかは思い出せない。改めて何気なくそこをいつもの順路で通りかかると「あっ・・」と思わず声を出した。思い出したのである。急ブレーキをかけて路肩へ車を寄せた。寄せすぎて私は車からかなり窮屈な思いをしてドアからすりぬけた。
にやにやしながらそのお店の前に立ったのである。
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全面ガラス張りで分厚いガラスだ。扉には「Kinderbook cafe」と書いてある。扉をよいしょっと引いて入ると、モダンな縦狭めがねを掛けた紳士が「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。レジカウンターの前に恐縮ながら陣取るとえらくおおきな分厚いプリントが渡された。程なく読み進めるとそれが「メニュー」だと知れた。
丁度いい頃あいに「失礼します。説明させていただきますと・・・」眼がねかの奥から素敵な眼を揺らしながら紳士がしゃべる。「ねえマスター」という言葉がこれほど似会う人はいるまい。よくみれば蝶ネクタイも似合っている。メニューの解説も気もそぞろにほとんど私はマスターの人間観察をしてにやにやしていた。この人間に出会えてすでに「嬉しい」感触がわきおこったのを感じているのだ。思わず笑いが起こるとはこのことでマスターの身のこなしや一挙手一投足が五感に響くのである。
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手堅くマスターの薦めるままに「ダージリンティー」を頼んだ。帰り際のレジの前にて「いやー本当に思ったとおりの素敵なお店で嬉しかったです。今度、妻と一緒にきますね。」珍しく私は名刺まで取り出して渡した。その名前をみてはマスターが「ソイ先生ですかーなるほどソイさんですかーいい名前ですね」社交辞令には思えない屈託の無い言い方であった。この日がマスターとの最初の出会いであるのだが、すでに以前から周知の間柄である気がしたのも確かなことであった。