わが愛するバロッサ・バレンティの代理店が閉じたこともありこのワイングラスも幻となってしまった。
以前のアーカイブを加筆して掲載した。

「私がこの会社の製品を知ったのはもう20年以上前になる。鋲で打たれた特徴的なクラシックな椅子やほのかな独特な色合いのランプシェードが特徴だ。革使いが上手い。特にバレンティグリーンといわれる緑色の革は代表的だ。何でもロレックス社の会長がこの革の色が大好きで敬意を表し模倣してロレックスの看板の色が緑になったというこぼれ話もあるぐらいだ。

8年ぐらい前に名古屋のセブンハーツさんに寄った際興味深いものを紹介された。
ワイングラスである。
銀座ー和光にもこの会社の家具は置いてあってもワイングラスやコーヒーカップは扱っていない。(無論、和光さんに卸しているのはセブンハーツさんだ。)
おそらく値段のバランスがおかしくなるからではないだろうか。

さてその値段が面白い。家具がどれも30万円以上から100万円前後するがこのワイングラスは3000円前後。また昔のガラスのように飴色の懐かしい色が愛着がわく。グラスの中央にはVという会社のシンボルが刻印されていてそれが一つ一つ手作業でいい意味で「いい加減」に変化がある。

それ以来私はこのワイングラスのとりこになり我が家や実家にもこのグラスをおいて飲んでいる。バカラやリーデルは封印してしまった。このワイングラスにはもう一つ私がファンになったおもしろい話しがある。
このグラスの原料である。

スペインで捨てられているワインボトルがその原料だ。早くからリサイクルに眼をつけた会社はあえて高級なグラス素材ではなくエコ素材に眼を向けていたといえる。
家具だけではなく物を愛着をもって大切にしてほしい創業者の願いだそうだ。
適度な重さで開きぐらい。口当たりも柔らかなこのグラスは赤ワインのミディアム、フルボディーに絶妙なバランスを見せるのだ。


スペイン第二の都市、バルセロナ。カタロニア州の州都。独自の言語や文化を持ち、ピカソ、ダリ、ミロ、そして建築家のガウディなど、多くの芸術家を輩出したカタロニア。このカタロニア文化を背景に生まれたのが、バロッサ・バレンティの家具・調度品。 家具・照明器具そして卓上の小物に至るまで、ラインナップのあるバロッサ・バレンティだからこそ提案できるというものだ。「セブンハーツ」はそのバロッサ・バレンティの家具・調度品のみを輸入・販売するため1974年に創業。創業当時よりトータルファーニシングというインテリアへの発想で、かたくなにそのスタイルを守り続け、今日に至る。一世紀あまりにわたり培われてきた伝統的な技法と素材選び、人の手の温もりが感じられる丹念な手仕事、それら全てが融合して独自な世界を創造。
これらの卓上小物は、バロッサ・バレンティの原点と言える製品だ。」