日本老年医学会(理事長・大内尉義(やすよし)東大教授)は28日、高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給について、「治療の差し控えや撤退も選択肢」との見解を示した。

 終末期医療に対する同学会の基本的な考え方を示す「立場表明」の改訂版に盛り込まれ、同日の理事会で承認された。

 「立場表明」は2001年に策定されたが、その後の実態に即したものにするため、10年ぶりに改訂された。近年、口から食べられない高齢者に胃に管をつないで栄養を送る胃ろうが普及。病後の体力回復などに効果を上げる反面、欧米では一般的でない、認知症末期の寝たきり患者などにも広く装着され、その是非が議論になっている。

 改訂版では、胃ろうなどの経管栄養や人工呼吸器の装着に対する見解が初めて盛り込まれた。高齢者に最善の医療を保障する観点からも、「患者本人の尊厳を損なったり、苦痛を増大させたりする可能性があるときには、治療の差し控えや撤退も選択肢」とし、「患者の意思をより明確にするために、事前指示書などの導入も検討すべき」とした。

今頃のん気に事前指示書の導入の検討などもはや遅すぎるほどの見解である。後期高齢者医療制度導入の際にも仮決定しておきながら放置して結局撤退。
しかしながら終末期を論じると最終的には「本人の意思・意志」がどうであったかは常に帰結点となる矛盾。これは避けて通れないわけで尊厳とはなにかを論じても最終的に本人の意思を尊重となるわけである。
さあ日本の医療界、終末期に尊厳をもって対応するのに「事前に本人の意思・意志を確認するのかしないのか」そろそろ明確にしないと。
欧米(アメリカ・フランス・オランダ)先進国との医療の差はもうほとんどないが、この点に関しては矛盾だらけで現場は密室医療・本人不在医療から脱却できないのである。NBMを目指すにしても本人意志確認なしで何ができるんでしょうか。