9918a7c8.jpg製薬企業と医療との関係が更に透明性を持つ時代へ。先般発表された企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン
http://www.jpma.or.jp/about/basis/tomeisei/tomeiseigl.html
日本製薬工業協会2011年1月19日
を見ても中々の骨格あるものが発表されている。
 特にここ5年間において「エスカレートしすぎた」感のある自主的な講演会や研究会はこれで露骨に曝されることになる。
教授や准教授、講師の立場にて年間に数十回に及ぶ講演料を報酬として得ることが医療発展にどうなのか?多くの疑問・批判が寄せられている。

 元々、必要なのは「正式な学会」のみで十分であったはずでありなぜにこれほど薬品会社と大学が密にこのような講演会や研究会を立ち上げたのには「闇」が多い。
2012年の4月からの情報公開においては、マスコミのみならず厚生労働省や税務署、警察等が多くの関心を寄せており今後の製薬企業と医療との関係はまさに「監視状態」となることが予想されている。
医療機関だけでなく医師個人名で公開されるため、今後病院外報酬とてい露呈する。
正式な手続きで報酬を得ているとはいえ、余りにも高額である場合に世論の反応はかなり手厳しいこととなろう。

特に医師不足が叫ばれてから「勤務医」に対する国の待遇面見直しが進んでいる状況で一部の突出した病院外報酬が露呈する影響は計り知れないものがある。
病院外での製薬会社からの報酬が一社あたり「1000万円」を超える医師もおり製薬企業内部からも「問題視」していた声は今までも聞かれた。
今後、背筋を伸ばして切り換える大学と公然と従来通り続けていく大学とでは世間の評価は残念ながら分かれ、一旦付いたレッテルをはがすには相当な年数要するだろう。

会員会社の活動における医療機関等との関係の透明性を確保することにより、製薬産業が、医学・薬学をはじめとするライフサイエンスの発展に寄与していること及び、企業活動は高い倫理性を担保した上で行われていることについて広く理解を得ることを目的とする。

1.会員会社は、本ガイドラインを参考に自社の「透明性に関する指針」を策定し、自社における行動基準とする。
なお、策定にあたって2012年度分を2013年度に公開することを前提に以下の準備を進めておく必要がある。
(1) 医療機関等から情報公開に関する了承を得る手順の策定(情報公開を前提とした委受託契約の締結手順等)
(2) 支払い情報等の集計・公開のための早期のシステム構築

2.自社の「透明性に関する指針」には以下の項目が記載されることが望ましい。
(1) 会員会社の姿勢
会員会社が行うあらゆる活動は、日本製薬工業協会(以下、製薬協)で定める「製薬協企業行動憲章」、「製薬協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」、「医療用医薬品プロモーションコード」をはじめとする関係諸規範およびその精神に従い、医療機関等との関係の透明性に関する企業方針を表明する。
(2) 公開方法
会員会社は、自社ウェブサイト等を通じ、前年度分の資金提供について各社の決算終了後公開する。
(3) 公開時期
2012年度分を2013年度から公表する。
(4) 公開対象

A.研究費開発費等
研究費開発費等には、GCP省令などの公的規制のもとで実施されている臨床試験や、新薬開発の治験および製造販売後臨床試験が含まれ、また、GPSP省令、GVP省令などの公的規制のもと実施される副作用・感染症症例報告、製造販売後調査等の費用が含まれる。
•共同研究費
年間の総額
•委託研究費
年間の総額
•臨床試験費
年間の総額
•製造販売後臨床試験費
年間の総額
•副作用・感染症症例報告費
年間の総額
•製造販売後調査費
年間の総額
B.学術研究助成費
学術研究の振興や研究助成を目的として行われる奨学寄附金、一般寄附金、および学会等の会合開催費用の支援としての学会寄附金、学会共催費。
•奨学寄附金
○○大学○○教室:○○件○○円
•一般寄附金
○○大学(○○財団):○○件○○円
•学会寄附金
第○回○○学会(○○地方会・○○研究会):○○円
•学会共催費
第○回○○学会 ○○セミナー:○○円
C.原稿執筆料等
自社医薬品に関する科学的な情報等を提供するための講演や原稿執筆、コンサルティング業務の依頼に対する費用等。

•講師謝金
○○大学(○○病院)○○科○○教授(部長):○○件○○円
•原稿執筆料・監修料
○○大学(○○病院)○○科○○教授(部長):○○件○○円
•コンサルティング等業務委託費
○○大学(○○病院)○○科○○教授(部長):○○件○○円

.情報提供関連費
医療関係者に対する自社医薬品の科学的な情報提供に必要な講演会、説明会等の費用。

•講演会費
年間の件数・総額
•説明会費
年間の件数・総額
•医学・薬学関連文献等提供費
年間の総額
E.その他の費用
社会的儀礼としての接遇等の費用。
•接遇等費用
年間の総額

米国において、製薬企業の医師への支払いを「太陽の光のもとで明らかにしよう」という意味で「サンシャイン法」と名付けられた連邦法案が、はじめて超党派議員により議会に提出されたのは2007年のことである。日本の動きもこれに倣ってのものだろう。もっとも今まで「不要且つ粗悪な」研究会や講演会をこれまで以上に減らして余剰した資金はやはり日本の医療界に還元する必要もあろう。
重要なのはやはり患者への還元である。それほど潤沢した資金があるのなら患者に還元するのが道理であり「薬品価格の見直し」の声が高まっていくのは間違いないところだ。
製薬企業とは一体、医療界においてなんであるのか?大学との関係はまさに「政界と建設会社」の構図関係に似てきな臭いimageがあった。政界と同様にcleanに出来るのか、これからは企業倫理や医師倫理が大きく問われる時代となりそうだ。