娘と妻を連れて案内されるとそこへmasterが何気なくおもむろに近づいてきた。
余りにも自然で絵でも描いて待っててくださいと言わんばかりに
画用紙を取り出す。
平筆も数本渡されて色絵の具のパレットも用意された。
masterが描いたのか（おそらくそうだろう）
幾何図型が現代アートのように並んでおり丁寧に塗り込まれている。
一個一個の図形に微妙な濃淡が描かれている。
僕はというとどうしてもちょっとちょっとはみ出たりしてmasterが苦笑する。
妻も笑っている。
今度は隅の方から取って置きのという感じで大きな木箱を取り出した。
ちょっと見ますかという感じでどんと僕らの前に置かれた木箱。
薇仕掛けなのかｼﾞｼﾞｯｼﾞｲｼﾞｰと物凄い振動音で動き出した。
上ふたのところにある針のような仕掛けが音を出しながら動き出して
音楽を奏でる。仕掛けはオルゴールとも連なっており思ったより複雑であった。
「博物館級ですね」とmasterに思わず聞くとだまってﾆｯｺﾘしていた。
蓋を開けて中にあるものを取り出すとｵｰｾﾝﾃｯｸなハンチング帽が出てきた。
そしてそれと一緒にそれを型どった型紙が綺麗に切り取られていた。
masterの話では「型紙」を準備する機械のようだ。
そうこうするとその機械がさらに動き出して今度はさらに音楽を奏でつつ教会牧師のような声もした。
masterも慌てて止めようとしたが隅にいた「どなたか」に目配せして相槌をうってそれを敢えて止めない。
そしてその場に居合わせた人たち（ぼくらも含めて）お祈りを捧げるように挨拶した。
僕と妻と娘は慌ててその指示に従い、両手を組んでお祈りをした。