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人間にとって常に樹木は、
その根は深く大地に、
頂きは高く天空に届くようで、
天地の間、森羅万象ことどとくを
結び合わしているようにも見える。
あらゆる神話は、
生命を生み育てる大地を母とみなし、
果実をもたらす元となる太陽のある天空を、
父とみなしている。

全時代を通じて人間は、
樹木が果実を与えてくれるばかりでなく、
その精神をも養っていることに気がついていた。

最も年とった樹木は、
その昔の文明社会の、
とりわけそこで活躍した
(そう錯覚しているのに過ぎないが)
仲間たちについての、
確実な無言の証人として次のように回顧する。

多くの文明は、
生命を養い育てる樹木と、
ついには破滅する都市との、
そういう樹木とそういう都市との間の
闘争に過ぎなかったと。
そしてその勢いは、
この現代において、
今や確実に文明の、
そしておそらく人類の、
そして地球上の他のたくさんの
生命の存続を脅かすほど、
次第に強まって壊滅に向かっている。
     by George Wald


壊滅から救う光とは何か。
一見すれば小さな光が裂け目から
漏れているに過ぎない「狭小の窓」
一歩、そして一歩づつ近づけば
その光を通じて見えるものは、
広がり、遂には「普遍的真実」
にたどり着くことが出来る。
狭小の窓の外枠には現世で
活躍したと錯覚し小躍りするものが
先ほどまで見えていたが
最早視界からは消え、
今は光だけが見える。

「狭小の窓」から
いつしか小躍りする輩が消え去り
いつしか窓枠が消え去り、
いつしか裂け目から漏れる
わずかな光が広大な景色を照らし
普遍的原理に辿りつく。

一歩、一歩近づく。
小躍りする輩に眼もくれず
無心で近づくことが出来るのか
無言の証人たちはじっと見ている
          by soy