「私がこの書を書き留めてから数千年が経過して君は時代が違うからどうだとも訊きたいのかね。」
「其のとおりです。錯乱の世に普遍性のある真理は有り続けているのでしょうか。時代の発展に対して、精神はこんなに荒廃してしまったのでしょうか。」
「そんなに人類を卑下する必要も無いし、高々数千年で変わったと言えるにはまだ短い。」
「では私たちは今どうあるべきなのでしょうか」
「それがいけない事だと先ほどから言っているのだ。本当の知者は物を言わず、求めない。物言う人は本当の知者ではない。本当の知者は欲望が呼び起こされる目や耳などの穴を塞ぎ、欲望が生じる心の門を閉ざす。知恵の鋭さを弱め、知恵によって怒る煩わしさを解きほぐす。知恵のひかりを和らげ、世の中の人々に同化する。これを道との玄妙な合一というんじゃよ。」
「それがあるべき姿と?」
「逆に問いただす。もっと豪快なことがしたいのか、驕ったことをしたいか?」
「そうでもありませんが、現在はそういう人が重用されているような気もします。」
「君はまだまだ相対的真理の虚を知っていないことになる。」
「何ですかそれは」
「君らが美しいものと思っているものは実は見憎いものであり、善いものと思っているものは善くないものにほかならない。人気があると思っているものや重用されていると思っているのは実はそうでない。有ると無いとは相手が相対的にあってこそ存在して難しいことと易きことも同様に相手があってこそ成り立つ。万物を治めようとして殊更に何事か作為を持ってするなら、治めることは必ずできない。一時的に重用されてもそれは瞬くまに無くなるであろう。万物は神聖な器のようであり、ことさらに何事かしようとすれば忽ち壊れ、捕まえようとすれば忽ち遠のくものだ。」
「もう一度質問致します、何をすれば万物はそこに有り続けるのでしょうか」
「我々人間は無為の立場に身を置いて言葉にならない教化を行う。万物の自生にまかせて作為を加えず、万物を生育しても所有はせず、恩沢を施しても見返りを求めず、万物の活動を成就させても、その功績に安住はしない。そのそも安住しないのなら、その功績はそこに残るのだ。」
「よくわかりましたが、我々にそれができるのでしょうか」
「心配ない、須らく天は一時でも万人たる人間にそれが真実であることを教えて万人がそのように行動出来るようしている。」
「えっつ全ての人たちがですか?それはどういうことですか?」
「神は産まれてからまもなくと死ぬ直前には須らくそのように行動するように手伝っているということだ。」
「それが唯一の万物、道の誘い?、無為自然の道程、始まりと終わり?」
「少し入口が分かったかな、今回は喋りすぎたからもう帰らせてもらうよ」
「大変この度は有難うございました」
「其のとおりです。錯乱の世に普遍性のある真理は有り続けているのでしょうか。時代の発展に対して、精神はこんなに荒廃してしまったのでしょうか。」
「そんなに人類を卑下する必要も無いし、高々数千年で変わったと言えるにはまだ短い。」
「では私たちは今どうあるべきなのでしょうか」
「それがいけない事だと先ほどから言っているのだ。本当の知者は物を言わず、求めない。物言う人は本当の知者ではない。本当の知者は欲望が呼び起こされる目や耳などの穴を塞ぎ、欲望が生じる心の門を閉ざす。知恵の鋭さを弱め、知恵によって怒る煩わしさを解きほぐす。知恵のひかりを和らげ、世の中の人々に同化する。これを道との玄妙な合一というんじゃよ。」
「それがあるべき姿と?」
「逆に問いただす。もっと豪快なことがしたいのか、驕ったことをしたいか?」
「そうでもありませんが、現在はそういう人が重用されているような気もします。」
「君はまだまだ相対的真理の虚を知っていないことになる。」
「何ですかそれは」
「君らが美しいものと思っているものは実は見憎いものであり、善いものと思っているものは善くないものにほかならない。人気があると思っているものや重用されていると思っているのは実はそうでない。有ると無いとは相手が相対的にあってこそ存在して難しいことと易きことも同様に相手があってこそ成り立つ。万物を治めようとして殊更に何事か作為を持ってするなら、治めることは必ずできない。一時的に重用されてもそれは瞬くまに無くなるであろう。万物は神聖な器のようであり、ことさらに何事かしようとすれば忽ち壊れ、捕まえようとすれば忽ち遠のくものだ。」
「もう一度質問致します、何をすれば万物はそこに有り続けるのでしょうか」
「我々人間は無為の立場に身を置いて言葉にならない教化を行う。万物の自生にまかせて作為を加えず、万物を生育しても所有はせず、恩沢を施しても見返りを求めず、万物の活動を成就させても、その功績に安住はしない。そのそも安住しないのなら、その功績はそこに残るのだ。」
「よくわかりましたが、我々にそれができるのでしょうか」
「心配ない、須らく天は一時でも万人たる人間にそれが真実であることを教えて万人がそのように行動出来るようしている。」
「えっつ全ての人たちがですか?それはどういうことですか?」
「神は産まれてからまもなくと死ぬ直前には須らくそのように行動するように手伝っているということだ。」
「それが唯一の万物、道の誘い?、無為自然の道程、始まりと終わり?」
「少し入口が分かったかな、今回は喋りすぎたからもう帰らせてもらうよ」
「大変この度は有難うございました」