
摺墨でアマゴが無性に食べたくなる季節だ。
ただ元々は「鮎」が大好物。
ではなぜにアマゴもしくは鱧かというと味に「ムラ」が無いからだ。
勿論、調理法に差が出るところではあるが
鮎ほどに調理やその姿勢に月と鼈ほどの差が生じることはあるまい。
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以前、銀座の小十を妻とお邪魔した際にご主人・奥田氏がこんなことを言っていたのを思い出す。
「苦さと香ばしさの中にある甘さ」
「ただしその甘さは胆嚢が生きているからこそ」
「難しさの理由は3つ
・調理ぎりぎりまで生きていること
・炭で焼くこと
・身の大きさ
この三つが相まって初めて美味しい鮎料理は成り立つ」と
確かにご主人の言われる通り一流料亭で供される鮎はこの三つが相まっていることが多い。
鮎は生命を失ってものの30秒足らずで身がぱさつくとされる。生きていることだって輸送中のちょっとした振動でも難しいことだってある繊細な川魚。
また炭で焼くことは自分の身の脂が落ちてそれが自分で自分の味付けを調度いい具合にするのに役立つ。
焼き方もこだわる。
「炭を極端に手前においてその強い火で硬い頭から焼く」
「後は低温でゆっくり40分かけて焼く」
「焼き手には解禁日の前に一ヶ月ほど猛練習を積ませる」
まあ元々、ここのご主人は超マニアック故に鮎に対するこだわりが感じられる。
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15、16cmの鮎をガブリガブリガブリと三口で食べて生ビールや冷酒を頬張る。
最高の夏の風物詩である。
僕が利用する美容室のmasterは鮎名人のひとりだ。
「川で捕まえてバケツに遊ばせておく。しっかり炭火を準備してさあってとこで頃合に串を打つ。内蔵も渋さを配慮してちょっと抜いてさっと焼き始める。生きているかどうかって頃合です。そうじゃないと美味しくなりません」