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きみの寝顔を
見つめていると
先まで無邪気に
「ノン!」と発した
その唇と

今これ以上にない
「ウィー」と
安らかな閉じた眼
同じ君に宿っているとは
見紛うほどだよ

ただただ
今日のこの日を
「ウィー」と唱え
ありがとうといひたい

ただただ
今日の月夜の晩だけでも
君の眼差しを静かに
傍らで見させてください

僕が君の
ダイニングチェアに座って
君に嗜められた事を
心地よく思い出すよ

4年前のあの椅子からは
何時どんなときに座っても
「ウィー」とも「ノン」とも
聞こえなかったよ
今はこの椅子は
僕が「ウィ」と聞けば
君が「ノン」と答える
僕が「ノン」と聞けば
君が「ウィー」と答える

君の声が今椅子の隅から
椅子の向こうから
聞こえるんだよ

「パパ、アッピーのいすにすわったら・・・」
「ノンノンよ」

その意思表示こそ君の成長の証。
何という心地よい「ノン」

長いお昼寝の後に
パパがもう一度聞いてみるよ
「アッピー、アッピーの椅子今借りていい?」
君は眠たい眼を擦りながら
「ウィー」と答える

「ノン」と答える君と「ウィー」と答える君
どちらの君も全ての君もいとおしい
今この月夜を越えて
明日の朝陽を浴びて聞かせて欲しい
「ノン」と「ウィー」を
君の「眼」と「唇」で

Jacques Prevertに捧ぐ by soy 2013.10