「明日に向かって撃て」 雨に濡れても・・・僕が高校3年生のころ、何となくこのまま大学に入るのか、医学部受験が自分にとってどうなのか、高校でやり残しがないか
さまざまに自問自答していた頃だ。
友人とよくジャズバーや色んなカフェに制服を着て出入りして逃避行していた。
高校の昼放課についつい自転車で「ランチ」と称して遠出をしたものである。
でっつそのままエスケープ。
ある日は、余りに遠出をし過ぎて次の授業が終了していた時もあった。
そのとき友人が見つけて紹介してくれたお店「シネマカフェ21」。
繁華街の路地を抜けたビル2階にあった。
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中へ入りそこで珈琲を頼むと
「今日は映画ごらんになられますか」
と聞いてくれる。すでに中学生の頃から無類の洋画好きであった僕。
学校帰りに寄ってはしゃぶりついて観たものだ。
その当時はレーザーディスクも高価で高校生には高値。ディアハンター、タクシードライバー、スティング 数々の名画がその僕の特等席で脳裏に刻まれた。僕にとって懐かしの「電影映写室」。
当然ながら今その店は存在しない。
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僕がそのお店で初めて感動した映画が「明日に向かって撃て」。
ラストシーンを観終わって高校生の僕がちょっと背伸びし勇気をもらえた。
その日店を出ると外は雨。
友人と傘もささず栄駅の地下街まで走り抜けた記憶がある。
その日は濡れても格好いい事情があった。
映画の挿入シーンでポール・ニューマンがキャサリン・ロスを自転車に乗せて遊ぶ場面で流れる曲が心の中に何度もリピートされていた。
濡れて何故か血潮が流れて・・・
少年だった僕の胸は熱く・・・
ちっとも寒くなかった。
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その当時の悪友がスギタ君である。
FBにアップされた永田町の指導医講習会の宴会の席の写真で反応して
深夜に赤坂見附の居酒屋まで駆けつけてくれた。
20年ぶりの再会か。
僕らは当時のことを振り返った。
当然、彼がなぜに僕と一緒に欠席していた授業状態で一橋大学に現役合格していたのか
なぞがわかった。
彼は自分の机と椅子ごと廊下奥の倉庫に隠していたそうだ!
なんと合理的!!
僕はその点で要領が悪く、落第。現役合格は遠ざかった・・・。
20年の時の流れは自然におさまっていた。
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そのBARから出たとき 外は やっぱり「あめ・・雨、雨」
アの日、あのカフェから出たときの雨と同様に彼は叫んだ。
「こんな雨、濡れたってたいしことないよ!濡れていこうぜ!」と
二人は路面が光る雨の赤坂を小走りに駆け抜けた・・。
