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世は恙無く果てしない
情に絆されて竿を立てられ
義を諭せば箒で返される

水は高いところから低いところへ
流れるものと習ったが
今は遥彼方にまで昇らねば許さじと
民は叫ぶ

手綱か手錠か論じているうちに
そこに法というコンパスが
時と共に一層深い溝の円弧が描かれ
溝の中に
政治家と弁護士が屯し終わりなき弁舌をたらし
哲人や詩人がその横で壁に文字を書き並べる

そんな溝から這出てきた作家たちは
河を漕いで岸辺にたどり着き胡座をかいて
白紙を埋める

河のほとりには
合理に縛られない余白がぽかんと
そこにギャルリーという空と間が生まれ
絵描きが集い藝術が生まれたもうか

自由と平和という文字はあの時代
誰もが真実を求めた時代を回顧し
あれほど何故に浪漫があったのかと
今更ながら掘り返す歴史家たち

この世に真実というものは今もって無いのか
それを説けば空となり虚となり偽となろうものだ

今、秋であること
それぐらいしか「真」であり
「実」は無いと思えば
これほどに生きやすい

幾分も残っていない珈琲の
冷め具合だけが
それを
知っている

by soy 2013.10

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