帰りの車の中でアッピーがボクに語りかける。

「さっきの男の人ってソイのトモダチ?知り合い?なの」
アッピーが不思議そうに訊く。

「違うよ〜」
「えっつ〜!」
「じゃあどうしてしゃべていたの〜?」
「なんでだと思う〜?」

「う〜ん・・・わかったっつ!!!」
「なに?」
「たすけたい!からっでしょう。」
「すごい!なんでわかったの?」
「だって、わかっちゃたもんね 」


「どうしてもこのお店行きたい!」
珍しくH&Mなんぞにアッピーが寄りたいというので帰りがけに寄り道。

さらっとひとしきり5分程度見渡すが大して好みのものがなさそうなので
帰ろうとすると
デパート店内で女の子を抱えて抱きしめたお母さん。
一生懸命、携帯で何かを調べる店員たちと父。
その傍らでそっと待っている他の姉妹の子供たち。


雑多喧騒の広い店内で見過ごされているシチュエーション。
通り過ぎていくひと、ひと。


何だろうね。間違えてもいいね。
思い切って声をかける。

聞けば店内の置き台の角で子供が額を切ったという。
見ると右眉外側がぱっかり深く切れている。

泣く子供を傷を抑えながら出血を止めて近くの病院をネットで探しているという。

ただ店員も土地勘が無いのか休日の病院さえも探すのに手間取っている。

早速お手伝いして心当たりのある病院に電話。
名城病院さん
「今日は内科医の当直で本当にごめんなさい」
医療センター
「うちはちょっとできないので・・・他を探す電話につなげます」
「千種区のY病院さん、ただし放射線科医で縫合はもしかしたらできないかもしれません」

もしかしてその方の家は?と聞けば名古屋市郊外のK市と。
傷も打撲も超緊急性はなさそうであり安全に家族と来院できるとして
K市総合病院に電話。名前、生年月日を事前登録してもらい
受け入れ可能とのこと。ガーゼにて圧迫処置して安心して行けそうだ。


「ねえ、アッピー さっきのお店に寄りたいって言ってくれてありがとうね」

「なんで?」

「また考えてみて?」
「また〜もうっつ!」