人生の大きいよろこびの一つは、言葉と文字をもち
読み書きのすべを伝授されたことにある。

これあるがゆえに人は、ひとりひとりの寿命こそ短いが、
祖先から子孫に通じて文化の継承という永遠の発展性をもち、
宇宙の秘められた調和と法則をも解明することができる。

また個人の生涯においても、人は読書により古今の賢者を師として、
はるか数千年の歴史をさかのぼり
また広く東西の知識を学ぶことができるが、
読書を外にしては祖先がのこしてくれた

文学上の大いなる財宝や、

真実な盟友、

親切な忠告者、

愉快な伴侶を得ることが難しいであろう。

良書は何をおいても読むべきである。

多感にして吸収力に富む若き日にぜひ
一読すべき良書を広く若人にすすめ、
愛読をこいねがう。 

             昭和43年5月 T.O