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どこにでもある川沿いの路を歩けば、やがて伸びた草の葉が足元になびく土手に出る。
その土手は続いて、続いて、幾ら行っても切れ目がない。
かといって、その先が気になったこともない、
土手がどんな高さでどんな土色だったかは定かではないが、それがあったことだけはおぼえている。
「排尿ケア」って何でしょうかと訊ねれば 「 土手 」のようなものと答えた。

医の歴史、数千年で つねにあったのであるが それが何につながっているのか なんとなく知っていたが取り上げる気もなく片隅にあったものだからだ。

医は忖度の連続だ。 やれ原因疾患の検査・治療、手術、やれ併発疾患の治療、合併症、退院先、対処すべき問題は枚挙暇なく・・・・あっという間にそろそろ退院、転院、そこに排尿がどうのこうのという帰結点は退院前に気づけばまだ良いほうで・・・。


慢性期病院や施設入所の患者で問題となる排尿障害患者のルーツ。調べて紐をたぐってたぐっていったら、どうやら急性期病院の排尿管理に問題があった。その問題は単なる排尿障害にとどまらず、周り巡って尿路感染や腎機能障害の再入院やひとの尊厳にまで関わっているから実に質が悪い。

じゃあその排尿管理を普段からのナースケア・多職種の協力でもっと良くしようよというのが国が考えた排尿ケア。だったらこの病院だけが変わればいいって単純なものでもない。同じ地域の急性期病院に集まってもらって勉強会をしたり、転院先の病院との連携会では手厳しい批判もいただいた。
今では当院を見本に排尿ケアチームを作りましたなんていう嬉しい話も聞く。
せっかく病気を治していくなら排尿ケアもセットで施してあげる意識は徐々に芽を出している。

狭い車窓から見上げる土手の上の向こうの空。
陽が注ぐ若い草穂が揺れている。
そのさらに先の景色をみたくなってきた。

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