それは当初衝撃のデビューであった
HERMESが満を持し10年前のミラノサローネで真のアール・ドゥ・ヴィーヴルを具現するために参画した
ミラノサローネと云えば 
ファッションのパリコレ同様なものであり
家具・インテリア界の頂点に君臨する祭典だ

こともあろうにHERMESが初参画は
あまりにもファーストインパクトが大きかった。

2011年にHERMESの家を日本に建立したときも
驚いて駆け付けた。

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内部はとてつもなくHERMES
シャッターを切ってはため息 
シャッターを切ってはため息
それほど HERMESの住空間に対する考え まさにアールドゥヴィーヴルは具現化されていた

と断言できた

2011−2016年までの
HERMESの住空間への提案は見事であった
一方で 
洗練されすぎて 物足りない 
今までの住空間への二番煎じ 焼き直し
などの批判も相次いだの事実だった。 
コンサバティブであり しかも 家具業界に数年のシンザンもの扱い。
無理もない

正直 HERMESのミラノサローネでのインパクトは
新規産業に批判的なものからすれば格好の餌食
影響力はディープであり続けることは出来なかった


 革命を起こした男がいる。 
アイルランド出身の天才デザイナー ナイジェル・ピークの起用であった。 
彼の放つその幾何学とも抽象とも言えないそれでいて森羅万象を示す色とりどりの魔法は 
今までのHERMESの住空間に対するすべてのコンサバティブの鳥かごの中から 洗練すぎた鳥を自由へと放つに十分な奔放さを持ち合わせていたのである。

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それはあの壁紙の歴史上 史上最高峰の傑作
ウィリアムモリスのいちご泥棒に匹敵するほどの名作中の名作と言っても過言ではありません

「PROMENADE AU FAUBOURG」

が生まれたときそれは始まった
そして彼は 立て続けに名作 EVENINGとAFTERNOONと連発したのであった。

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驚くべきはそれに続くアーティストがいたこと
Gianpaolo Pagniらは難なくそれをやってのける SQUARESシリーズだ

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もし普遍的な無地なマットのカラーを要する空間へもHERMESは柔軟に答えた
Hドットシリーズの登場 
これがある意味 
エルメスの最後の提案となるわけである
このグレーカラーに魅了されたため
おそらく全世界で早々に
私はオーダーリクエストしたのである

この素敵な壁紙が届くまでになんと6か月・・・
しかし待った甲斐が
十分にあるハイレベルな出来だった

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この画期的なアイデアは、草間彌生の比ではない

実は 北米の家庭にならあったりする
黒板がわりにメモなどをピンするあの
ピンボードのドット!!
これを引き算して成り立っているのだ

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こういう引き算のデザインは日本人はほとんど苦手で例えばNENDOの佐藤さんぐらいが
この引き算デザインの日本人筆頭にあたる
ただ それほど難しい
それ故
この壁紙には
引き算インテリア
であるアルテックの半円テーブルと
ルイスポールセンのネンドのフロアランブを
カップリングしている

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さて
もちろんHERMESにはオーセンティックな柄にも
名作を残した

カレのデザインでも周知のRobert Dalletによる

JUNGLE LIFE MULTICOLORE


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勿論 
このデザインをモノトーンとしたらなんていう贅沢な要望にも応える
個人的にはこちらが好みだ

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今思い返しても
少なくとも2019年の間は
ミラノサローネの合言葉とともに
壁紙とともに様々なアーティストがナイジェルピークの革命的文化のインスパイアされ
そのデザインの系譜に続いていったと
回顧される

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今年10年目を終えて
アールドゥヴィーヴルには壁紙やファブリックテキスタイルが必須であるとしたHERMESの上層に変化
何かわからないが
空間芸術に対する方向性に変化
が起きたと考えるのが自然
いずれにしろビッグメゾンがひっそりと
あれ程の名作を所有しながらも
壁紙とファブリックから完全に勇退するということは
当面この20年程度は復活はないと
残念ながらみるべきである
下手したら
HERMESの完全撤退
二度と無い
あのメゾンは
意思が明確ゆえ永続的な決済決断
が歴史的にも多い傾向

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我がvoiture A を創り上げようとしたときに
アールドゥヴィーヴルの理念に立ち戻り

間違いなくHERMESのこれらのCOLLECTIONが
現代のArt de Vivre
として
マストアイテムであり
存在にも助けられた
これらの作品に出会えたことを
今なお
感謝したい