なかなか奥様とユリさんは出てこない。
きっと手こずっているのかもしれない。
しばし
しばらく執事と運転手で豪邸の犬というテーマで語らう。
「 あの犬は番犬にはなりませんね。あんなに尻尾を振っているんですから」
「そうですよね。だいぶ老犬でしょうね、15歳ぐらいかな。」
「この家にはもう一匹犬がいますがこっちは強い犬で今までにユリさんはじめ数人が噛まれたといういわくつきです。同じ家の犬でも噛む犬とあんなに尻尾を振る犬がいるのですから もう来客は混乱しますよね。 まちがって噛む犬に手を出したりしてね。」
「 最近は豪邸といえば木村拓哉さんのように見るからにゴージャスな犬を飼っていたりね。主の夫婦よりもっとゴージャスな雰囲気でね。田園調布あたりを散歩してたりすると人間より明らかにオーラがある犬が散歩してますからね。犬のほうが人間よりもオーラがあるみたいな。犬のために働き犬のために豪邸を建てるみたいな。立場が逆転ですわね。」なんて話をしていて盛り上がっているとようやく二人がやってきた。
「 今日はすみません。ご主人さま! 仕事は大丈夫でしたか?ご無理申しました。何せそちらの御鮨屋さんは時間制きっちりで遅刻厳禁というお店でして それなのに早く到着しても店に入れずとまあ困ったところで・・・今日はよろしくお願いいたします。」
色々車中では積る話をしながら進む。

そういえば・・とユリさんが最近の学校でのトピックスを取り出した。
小学校4年生の学友の話しだ
「ちょっと驚いたことがあってね」と執事に相槌を打ってくる。「そうそう」
「 ある日ね 、 とある学友の男の子がね そうそう10歳だよね4年生だから、隣の女の子は気づいていたわけよ、えらく厚着してきたねって。でじゃらじゃらとソーラーライトを6つぐらい持ってきていたわけ。」「へえ〜」
「 で女の子はちょっと不思議だなって でも周りは何ら、先生も何にも気にしていないわけ」
「うんうん」 「 放課中になると そのソーラライトを運動場に持って行って太陽の照っているところへ置いたりぶら下げたり それを女の子は遠くから観察していたわけ」「おもしろいのは 給食の時間に余ったパンや食材をカバンに詰め込んでいるのを彼女が観ていたらしいのよ」


で、どうなったと思う? その日?

「 う〜ん それだけだと分からないけど なんだろうね 」
「 その日 19時に小学校にその男の子の母親から泣きながら電話がかかってきて 今でも家に帰って来てないって!」
「 まあ うちでも下の同じ4年生の子も19時30分ぐらいはあるけどね 」
「 まあ その子としては遅かったというのはあるんでしょうね 」
「 ただし 警察にも連絡して捜索して見つからないって 」
「 それで 小学校としても異例の対応をしたわけ 」
「 深夜2時になって 事態が動いたわけ 」
「 なに? 」
「 当直の先生が とある教室になにやら微妙な明かりが見えるから パトロールして発見
なんと 教室に冬ごもりした身支度の少年がいたわけよ 」

「 ということは? ずっとずっと学校にいたわけ? 」
「 そうなの、 彼が言うには 夜9時にはガーデニングの素敵なアーチにそのソーラ―ライトをぶら下げて大好きな読書をして素敵な時間を過ごしてさらに教室に戻って一人キャンプを決行していたらしいのよ!」 
「 前代未聞だね」「 当然、次の日は大変よ。担任は警察や教育委員会に呼ばれたりヘロヘロ。
翌日になってようやく 担任と本人が戻ってきて 本人の前で叱ったそうよ。」

「でもこれには後日談があって」 「え?!」
「 それから一か月後になって またその少年がいつも以上の厚着をしてきたらしいのよ。 荷物も多い。で例の女の子はずっと観察監視をしていて、前回同様 ソーラーライトをさらに10個ぶら下げて給食のあまりをたくさんカバンに詰め込んでいたから これはいけないと思ってこっそり担任に通報したわけよ。こってり注意されていたらしいんだけど 次の日、学校に来た彼が・・・」

「彼が何て言ったの?」 「 野球ドームの公園で寝泊まりして楽しかったって」 「え?!」

と話をしているのもつかの間 目的の付近に到着。 
運転手から 「 ○○さま、本日はご乗車まことにありがとうございます!また大変楽しいもう2時間程度聞きたくなるお話 続きが気になりますが」
「 ぜひ次回もこのお車で来ていただいたら続きをお話し致します 。それではこちらこそありがとうございました。」