足跡を辿る。

縁を辿るとも云う

京都の和久傳さんは、京都のみならず全国的に名が通った名店だ。
若手の料理人志望の丁稚奉公もたくさんいて
もう30歳近くともなれば店長兼料理人として支店に出される。
支店と言っても聞こえはいいが、何のことはない
本店からは放任され、孤独な武者修行が続き、大概の一般的な末路は 嫌気がさし 辞めて独立する

ある支店では、それが毎年毎年繰り返され
そのたびに新たな若い店長兼料理人が登場していた。

黙って料理を作っていても
だいたい知れる。
やる気のなさがね
誰にも干渉されないのと
誰にも放置されるのとは
モチベーションに大きく関わる

大概見ていると半年ほどで文句が出てきて
露骨に不満が出てくる

辞めていった店長は皆一同 そんな案配だった。


するとどうだろう?

やけに淡々と作ってくる いかにも職人さんの雰囲気

半年たっても、不満気な様子は一切無い
見上げた方だと思い、ようやく声をかけた

不満がないわけではないと笑いながら
それから色んな話をさせていただいた

京都に戻られてしばらく先輩のお店で住込で働いていた。もうじき自分の店を出します!と言いながら
京都に寄るたびに、そろそろか?
まだですが、じきです!
そろそろ? じきです!
この繰り返しを数年経て
ようやく新店舗オープン(笑)

コロナ情勢下でも持ち前の忍耐で孤軍奮闘
昨年度、めでたくミシュラン星付きに選ばれた。
ただこんな情勢下だから、電話もできず一年半声もかけれずじまい。

先ほど、突然電話して金曜日予約
すると、途中で気づき
もしかして、あの〇〇さんですか?

覚えててくれたんですか?❢と電話口ながら破顔の高揚ぶりでよろこんでくれた。


その時に
もうひとり電話して出かけるべき人を思い出した。
早速、電話して出かける

4年ぶりぐらいかな

ユリさんが
「 覚えててくれないかも 」
とニヤニヤして冷やかす。

にこやかに入店

「 こんなに個性強い方 忘れるわけないですよ。10メートル向こうでもわかりますよ(笑) 」

美味しい珈琲とチョコケーキ、クッキーをいただき
満足! 少しずつ 足跡を辿る
慌てず ゆっくりとね(笑)

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