黒田泰三さんの白磁はするっと宇宙的空間にて
聰明にしてきれいだ。
とかく持ち上げられたが
本当の評価は100年の時が決めるだろう


お嬢が宣う 
「 整いすぎている  もう少し人の手・いびつさがあっていい 」
どきっとするんだ

こういう感性を、大切にしたい

この数年、家の枠の仕切り線から中に入れるものは かならず 
二人にも どう映るのか
どう 感じるのか 訊くようにしている

観てもらうようになると 話はとんとんといく

濱田庄司さんがいうように白磁は手掛けるに難しい
樹木希林さんがいうように白磁は難しいから目利きを傍に必ず連れていくと

それゆえ この5年間 一切 白磁は観るに徹して手を出さず 見続けた。

まずは先人の名作から李氏朝鮮白磁を見続けた

白磁の名人とされる人間国宝はずらり総覧させていただいた 中村清六さんなど名工も拝覧
日本民芸館の名品をひたすら見続けた
出西窯の多々納弘光さんが吉田璋也氏を訪ねた時の事を思い出す。
白磁の名品をズラリと並べて濱田庄司が一日二日と見続けた。食べる時間さえも惜しんでスケッチした。最後は気にいる順番に一生懸命並べて帰った。
多々納弘光にもそれをズラリとやってみなさいと。
多々納弘光さんはその時の事を思い出す度に汗が出た
ただ見るのではない 
さてさて見続けた。
黒田さんもしかりその門下生もしかり。
お弟子さん何人かの作品をかなりの物量を見させていただく
黒田さん含めて素晴らしいが 心は動かず
ひたすら静かだった。良いのはよい。
これは冒頭で述べているように お嬢の感性もユリさんの感性もしかり同じく。


今回雑誌HERSの誌上で白磁現代作家が扱われていたが 当然すべてを確認させていただいている作家がずらり、各地の個展を巡ってきた
素晴らしいのは間違いないところであるが 時を超えて感じる傑出力はなかった。
それほど白磁は難しい
現代の有名どころが束になっても
古の無名の芸術にかなわない

柳宗悦が浜田や河井を連れて満州を何度も訪ねて蒐集にいそしんだ。
浅川兄弟と柳の関係性をみれば
白磁の用の美に取りつかれた者たち


青磁も悪く無いが 結果 
白磁には 何か特別なものを感じる
さらにその形、土の重さ、白釉の映りに 神秘性すら感じる
どちらかというと美しすぎるものよりも
ほころびや にじみ なにかほっこりするいびつさ 不完全さこそ満月白磁の醍醐味と
尾久彰三さんが語っていたことが思い出される

では現代白磁に納得の上に驚きをもって感服させられる作品が一切無いのかと言われれば
全然ないともいえない

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arts&science主宰のソニア・パークさんがお店で扱うLEE GEE JOは何度か足を運んで個展などを拝見。韓国白磁の第一人者として脂が乗って来ていると 今後に期待している一人だ。


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さらに高野山の麓で素焼きを経緯せずそのまま漬込み焼き上げる 森岡由利子さんの白磁も年々いい案配になっていると期待している一人だ。

この五年間 全国各地津津浦浦 白磁を手に取り見続けてきた自負として 本質的な意味で現代白磁を代表する二人だと断言はできる

忘れてはいけない 今の陶芸家たちが 各地のギャラリーなどで 若手完売作家などとちやほやされながらまたは誰々の弟子などと背景を纏って作陶する姿には 見るものも興ざめさせる

古の時代、李氏朝鮮で ただただ 作陶する姿のうえに 時代を超えていく名品がうまれ 作陶者の名前すら残っていない事実を。
無名を貫く姿に白さが際立つ

この二人をあえて挙げることは また好まない状況へ発展しないか不安すら覚えるが……
この誌面が 超クロージングであるので
記録を決行させていただきたい

有名を求めず ただひたすら土に新たな魂を吹込み
製作に打ち込む あの時代に通ずる真の作陶精神が作品から感じられる稀有な作品だからだ。

 こちらが、お嬢の最終的なセレクション
「整いすぎず光との相性がちょうどよい」(笑)
いただきました(笑)

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