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当時の最終日を迎えるにあたっての心境については、「全然覚えていないよ。記憶力が弱くて良かった(笑)」と話す一方で、あの“悪夢”はマキロイの脳裏に子べりついている。「18ホールはまだ長い道のり。最終日に何が起こるかは、他の誰よりわかっているつもり」


後続に4打差をつけ快調に首位を走りながらサンデーバック9の10番で信じられないようなミスを繰り返し「80」を叩き、15位まで順位を落としシャール・シュワーツェルに優勝を譲る悪夢を味わったのが14年のマスターズのことだった。

彼の優勝を信じて疑わなかった私たちも、コースで打ちひしがれたことを覚えている。
シュワーツェルを今、ゴルファーとして既知であるよりも、やはりマキロイを知っている人が多勢であろう。


明らかに今日のマキロイは、いつもと違って 自分の遥前の自分自身、まさに亡霊と戦っていた。
1番のダボ、9番のウルトラバーディー、10番のティーショットまでは平然としていた。
セカンドショットから彼の視点と呼吸が変わっていくのが見えた。
危ない、魔物に引き込まれていく...
10番のセカンドショットこそ池には免れたがボギー。
13番パー5手堅く3オンを狙う戦法のマキロイのうつろな瞳はすでに悪夢を予感をさせる。
このグリーンは定番のピンポジションに対して左から大きく右に切れていくため
通常 刻みでも左を狙えばいい 、むしろ中央でよかった・・・
それなのに打つ直前に彼の視点はピンにあった。。。
危ない!あっと思った時には時すでに遅し、ボールは更に右に飛んでいきクリークへ消える。

この時点で、ダボふたつ、マスターズの勝者で最終日ダボふたつ、勝者の定石から外された。

そのホールからのパットは魂が込められるはずもなく不甲斐ない転がり、そこから短いパーパットはことごとく外れていく。象徴的な18番一打差リードで迎えた絶好のセカンドショット。

いつもよりテンポが速くスイングを始動、さらにボール一個分、ボールに対して近づいてアドレスしていた印象。右にプッシュ。魔物と戦い続けて明らかに飲まれていた。

プレーオフは結果的にマキロイの勝利となっていたが マキロイの視点はうつろ。
明らかに危なげだった。 ジャスティンローズの5メートルが先に入っていたら外していた可能性は
大いにあった。 だが結果的にはローズが先に外して、マキロイが決めた。
マキロイがしばらくグリーンにうずくまり頭を抱えた。
オーガスタの勝者でこんなポーズは初めてだ。魔物に対して何か言っているように見えた
どうだろう 数秒、いや10数秒、うずくまりから立ち上がって歓喜の雄たけび。
今度は魔物ではなく 女神に初めて 感謝しているようだった。
オーガスタの魔物にもっとも翻弄された15年。
マキロイの戦った魔物は 自分自身そのものだったのでは・・・感慨深く見守った。

おめでとう、マキロイ。

君は 君自身の亡霊に 打ち勝った。